2008年3月4日火曜日

ユーシー カード

半神

妹との分離手術が成功して、以前には夢にも思っていなかった生活がかなえられた姉が、その代償として失ったものは?あまりに悲しすぎる、しかし感動する話です。

代表作「ポーの一族」「トーマの心臓」、また「メッシュ」「銀の三角」。最近の「残酷な神が支配する」「バルバラ異界」も最高!しかしこの作者の恐ろしさは、わずか16ページの短編で、究極の愛憎と、生命の尊厳を描き切ってしまえることでしょう。底知れない萩尾作品の宇宙は、読後、深い瞑想に誘い込むかのよう。「半神」の他に、バラエティーに富んだ9編が納められています。定められた悲恋の振り子運動「酔夢」、神話のごとき重厚な「偽王」、軽妙なSFラブコメ「ハーバル・ビューティー」などなど凝縮された萩尾ワールドを存分に堪能できる1冊です。

シャム双生児の姉妹。妹は美しいが知恵遅れ、がりがりで醜い姉は聡明。分離手術を受け、美しい妹は死に、妹に取られていたものを取り返した姉は美しく育つが・・・。野田英樹で舞台化もされた。

 自分の生を獲得するために、究極の選択・・・。そして涙のラスト。この肉親間の葛藤、兄弟姉妹よりも更に濃い、一卵性の双子、おまけにシャム双生児の姉妹。頭脳明晰で養分を吸い取られて割に合わない成長の姉、知的障害で生活の全てを姉に頼らざるを得ない美しい妹。こんなにはっきりしたお膳立てから展開するテンポの速さ、鮮やかさ、ラストの幸不幸入り混じった、当事者しか感じることのできない哀しみと苦悩、涙。いつも思うのだが、どうやったらこんな世界を創出できるのだろう、望都様は? 兄弟の双子の葛藤としては、「アロイス」が秀逸だが、短編でずしりと重たく凝縮された完成度の高さは「半身」の方だろう。 

「半神」、初めてこの作品を読んだ10代の頃、あの時の衝撃は未だに忘れられません。たった16Pでここまで深く描きぬけるものなのかと心底感嘆し、心揺さぶられました。それは、何度読んでも色褪せることのない深い感動でした。何度繰り返して読もうが、勝手に涙が出てきます。この作品は当時の私の感性を著しく刺激し、今尚、原動力となっています。私は未だにこの作品を越える16Pには出会えません。16Pという物理的限界を物ともしない、素晴らしい作品です。

萩尾さんの名作、たった16ページのこの作品を読んだ時の衝撃を忘れられません。とても短いお話ですが内容が深いです。☆10個くらい付けたいです。ショートショートの作品の醍醐味は、アイデアと起承転結が全てです。自分が半身を読んだときの感動を、作品を手にして味わって欲しいと思いませんか?

これはちょっと読んだ方が良いと思います。あらすじは他の方が書かれたレビューをご覧になればお分かりになると思いますが、これはね、実際この作品を味わう、というか、この作品に関わってみると、なんとも言えない感慨に浸れます。何回も読みましょう。

わずか16ページの短編ですが、内容はかなり重く濃いです。双子でなくとも兄弟姉妹を持つ者なら、兄弟であるからこその愛しさ、嫉妬、そして憎しみが切なく伝わると思います。短編の名作として有名な「半神」ですが、実は私、初めて読んだときそれほど感動しませんでした。でも、何度か繰り返し読むうちに、しみじみと本当に切なく哀しくなるのです。「半神」を読んで号泣したという読者も多いようですが、私は淡々と心で泣ける物語だと思いました。

生まれてから一体だった双子のユーシーとユージー。ユージーに栄養をとられてしまい、醜かったユーシーだったが、二人を切り離す手術をすることで、変化が現れる。肌がカサカサで、頭髪も殆どなかった主人公のユーシーが、段々と美しくなり、在りし日の双子の妹に酷似してくる。それまで「私」と思っていた要素が抜け落ち、変わっていくのを自らを以て目の当たりにするのは衝撃的なことだ。しかしその変化が、死んでいく妹という他人を以てさらにはっきりと感じさせられたときの衝撃はそれに勝るだろう。私はここにいる。しかし目の前で死んでいくのも私なのではないか?そして、美しくなった自分と、醜かった自分が一人の人間に同時に存在したとき、ユーシーは醜かった自分も、妬ましくてたまらなかった妹も愛していたことに気付いたのだろうか。萩尾望都さんは大好きで、作品を読む度に衝撃を受けるのだが、その作品以上の何を語ればよいのかわからない・・・。

身体の一部が繋がった、俗に「シャム双生児」と呼ばれる双子。この、腰の繋がった双子の姉妹の愛憎・悲劇を描いた『半神』。わずか十数ページの作品だというのに、この胸に迫ってくる悲しさと緊迫感、後に残る余韻の重苦しさと暗さといったら!いったい何なのだろう?ほんとスゴイ人です、萩尾望都という人は。他にも短編があわせて10作が収録されていますが、この『半神』一つだけでも読む価値が十分にあります(といって他のが読む価値がないといってるんじゃありませんよ、もちろん。どれもおもしろいです)。ぜひぜひ一度読んでみてください。美しく悲しい萩尾望都の世界にドップリと浸かってみませんか?

萩尾望都(はぎおもと)という作家をご存知ですか?漫画家、と呼んだほうがいいのかもしれません。この作品も漫画です。それもたった16ページの短編。初めてであったのは確か私が15歳くらいの頃でした。少女漫画雑誌(雑誌名は忘れてしまいました)でこの作品に出会い、あまりの衝撃にその作品と作家名が忘れられなくなりました。たった16ページ、紙にしてわずか8枚でこんなに深く刻まれるなんて。生まれながらに腰の辺りでつながっている双子の姉妹の物語です。妹は美しく、知能は低く、自分で生きていく代謝機能をもちません。姉が蓄える生きていくための力はすべて妹に吸収されてしまいます。それゆえ姉はやせ細り、髪も抜け、美しい妹とはかけ離れた風貌に苦しみます。愛されるのはいつも妹。賢いがゆえに悩む姉。天使のように純真無垢な妹を腰に抱えて、あるとき姉は体力の限界を迎えます。この双子が生きるためのたった一つの残酷な方法は…?初めてであった雑誌はいつしかなくなりましたが、数年前、この話が短編集となって文庫本になっているのを見つけ、喜んで買い求めました。野田秀樹さんも戯曲化した有名な作品です。私にとっても大切な作品です

 これほど短いページ数で切実に確実に読者の心に訴える。すごい。 恵まれた家庭に生まれたシャム双生児。知能は高いが醜い姉と、ほとんどしゃべることもできない愛らしい妹。姉は知能が高いからこそ幼心に自分の醜さをよく知っており、何も分からない妹を庇ってやらなくてはならないという両親の教えを守り、いつも貧乏クジ。「私は一生こういう目にあうのか。一生妹へのほめ言葉を聞き、一生妹をかかえて歩き、妹にじゃまをされ。いっそ妹を殺したい。私の不幸はそれほど深い」。 姉妹が成長したとき、姉に与えられた選択の機会。。。数年後、幸福な人生を手に入れた少女が、ふと見出す自分の半身。その存在を自分は愛していたのかそれとも憎んでいたのか。ラストシーンはひたひたと怖いのですが、泣けました。  何度読んでも鮮烈な印象の変わらない、読み返すたびに一つ一つのセリフや絵に重みが増していく傑作。

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